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2025/02/04

愛知県教育委員会が AI PC の Surface Pro を約 12,000 台導入。Microsoft 365 Copilot とともに拓く教育現場の AI 活用

GIGA スクール構想の開始から約 5 年が経過し、教職員向け端末の更改が迫るなか、教職員の働き方改革や AI 活用などを見越して、次回の更改まで十分に利用できる機能性を備えた端末選びを進める必要があった。

2 in 1 で機動性が高く、ペンやタッチ入力もしやすい大画面の AI PC、Surface Pro 10 を 約12,000 台、県内すべての教員への配布を決定。一部の高校で Microsoft 365 Copilot の試行導入もおこない、働き方改革と先進的な ICT 教育環境の構築を推進している。

Surface に端末を一本化したことで 2 台持ち運用の課題が解消しただけではなく、デジタル採点の活用により日常の業務効率が大幅に向上。加えて Microsoft 365 Copilotを活用することで、連絡資料の自動作成や検索精度の向上など、生成 AI を用いた新しい働き方が広がっている。

Aichi Prefectural Board of Education

他の日本の教育機関に先駆けて AI PC の Surface を約12,000 台、県内全教員に配布

愛知県は「あいちの教育ビジョン 2025」を策定し、「自らを高めること」と「社会の担い手となること」を理念に掲げ、豊かな人間性と「知・徳・体」にわたる生き方を育む教育の実現を目指しています。

その柱となる施策のひとつに「情報活用能力の育成と ICT 活用教育の推進」があり、愛知県教育委員会では ICT を用いた子どもたちの学びを支えるさまざまな施策を推進しています。施策の一環として 2024 年度の端末更改で、全国に先駆けて AI PC の Surface Pro 10 を 約12,000 台、県内すべての教員に配布することを決定しました。さらに、Microsoft 365 アプリに統合された AI アシスタントである Microsoft 365 Copilot を一部の高校で試行導入しています。

生成 AI や AI PC は、この先なくてはならないツールになります。学校教育のなかで正しい使い方を身につけて、デジタル人材としての素地を育み、将来の選択肢を増やしてほしいと思います

 

井戸田 勝弘 氏, ICT 教育推進課 課長補佐, 愛知県教育委員会

5 年間の運用で浮上した「端末 2 台持ち」の課題

愛知県教育委員会 ICT 教育推進課は 2022 年に設置された組織です。「感染症の流行や大規模災害などの危機的状況においても子どもたちの学びを止めることがないように、ICT を活用して個別最適な学びに向けた教育環境の整備を進めています」と語るのは、愛知県教育委員会 ICT教育推進課課長補佐 井戸田勝弘氏。

愛知県では、これまでに県立高校の生徒全員に Surface Go シリーズを配布するなど、順調に ICT 教育環境の基盤を整えてきました。2024 年度に控えた教職員端末更改に際しても、将来を見越して 2021 年頃から新しい端末の条件などを検討し始めていたといいます。

これまで使用していた校務用端末では、性能面やバッテリーの持ち時間などで、授業や校務をおこなう上での課題がありました。また、運用面でも不便に感じることがあったそうです。愛知県情報政策課DX推進室兼ICT教育推進課主事 川口智紀氏はこう語ります。「機微な情報を扱う校務用端末は職員室に置いたまま、教育用端末は教室などで使う 2 台持ちは、業務の切り分けや機動性の高さという点では好評でした。しかし、校務系業務のために職員室に戻る運用は、教職員の業務効率を低下させる要因になっていました」

愛知県では、公立学校における教職員の働き方改革ロードマップを策定しており、教職員の業務改善は喫緊の課題です。ネットワーク基盤のクラウド化を進めており、データの安全なやり取りにも目処が立っていたことから、今回の更改においては端末 2 台持ちの解消がひとつのテーマに掲げられました。

将来予想される使い方も見越し Surface Pro 10 と Microsoft 365 Copilot を導入

端末更改のもうひとつのテーマが「将来予想される使い方にも対応できる機能性」でした。「自治体の端末更改は 5 年周期が一般的です。次の更改を迎える際まで快適に利用できる端末選びをおこないました」と川口氏は振り返ります。さらに川口氏は、県教育委員会全体のデジタル化推進と県立学校向けの生成 AI の展開計画を担当する立場から、これからは教育の現場でも AI が鍵を握ると考えていました。

川口氏は 2023 年にシンガポールにあるマイクロソフト アジア太平洋地域の本社に訪問し、生成 AI を体験利用。まだ Copilot が登場する以前の製品でしたが、「生成 AI がExcel や Word での業務をサポートする様子を見て、その威力に驚きました。これをうまく活用すれば、先生方の業務が大きく変わるのではないかと感じました」(川口氏)

井戸田氏をはじめとする課のメンバーは正直、生成 AI の効果を予測できていなかったと言います。しかし、川口氏の提言により「このタイミングで生成 AI を利用できる環境を整えておかないと、将来的に置いていかれてしまう。端末更改は 5 年に一度の機会なので、今を逃すと次のチャンスまで待たなければならない」と危機感を共有するに至りました。

入札の結果、新たな端末として決まったのが AI PC である Surface Pro 10 でした。Surface Pro は県内すべての教員分調達され、その数は 約 12,000 台という世界的にも類を見ない規模となりました。さらに、一部の高校で Microsoft 365 Copilot の試行導入が決まりました。

愛知県立一宮高等学校では、2024 年 9 月から教職員に Surface Pro が配布され、実際の業務での活用が始まりました。また主任等の役職者の一部には Microsoft 365 Copilot のライセンスを付与して、生成 AI の業務への活用についての検証をおこなっています。

“生成 AI が Excel や Word での業務をサポートする様子を見て、その威力に驚きました。これをうまく活用すれば、先生方の業務が大きく変わるのではないかと感じました”

川口 智紀 氏 ,情報政策課DX推進室兼ICT教育推進課 主事,愛知県

さまざまな局面で Surface Pro 10 の活用を進める愛知県立一宮高等学校

一宮高等学校は 2018 年に創立 100 周年を迎えた県下有数の伝統校です。「質実剛健」の校訓が示す通り、運動部だけでなく理数系の部活動も盛んで、文部科学省から SSH(スーパー サイエンス ハイスクール)に指定されています。普通科、定時制普通科にくわえてファッション創造科も併設されており、卒業生はさまざまな分野で活躍しています。

同校では ICT 教育にも積極的に取り組んでおり、その課題についても日常的に感じる機会が多かったと語るのは、県内各校にひとりずつ在籍する情報化推進者を務める愛知県立一宮高等学校 教務部 情報化推進者 教諭 鈴木淳子氏。

「2 台持ちの運用をおこなうなかで、職員室に置いてある校務用端末は起動に時間がかかることから、作業効率の悪さを感じていました。また、端末相互にファイルを移動させる際にも時間がかかり、ファイルの種類によっては移動できない制約もあり、不便を感じることもありました」(鈴木氏)

生物部の顧問でもある愛知県立一宮高等学校 SSH 企画部 教諭 原 いずみ氏も「普段は職員室ではなく生物準備室に在室しているので、校務系の業務は、校務用端末を使う日を決めてまとめておこなうことが多く、後回しになる業務が出てしまうのが実情でした」と語ります。

しかし、これらの課題は Surface Pro 10 の導入後に大きく改善されたと言います。愛知県立一宮高等学校 SSH 企画部主任 教諭 後藤春日己氏は「新しい Surface は処理速度が速いので、とても快適です。それに画面が大きくタッチ操作がしやすいので、デジタル採点が快適になりました。手作業では 1 時間かかっていた採点が、今は 40 分程度で終わるようになりました」と、導入による業務効率化について語ります。

その利便性からデジタル採点を取り入れる教員も増えていると後藤氏。Surface Pro が教員全体の ICT スキルの底上げにも寄与していることがうかがえます。

原氏も「1 台の端末に統一されたことで、すぐに取り組みたいことに着手できるようになり、とても楽になりました。タブレットとしても使えるので持ち運びやすく、場面に合わせて使い分けられます。特に、図で説明することの多い生物の授業や部活動では、ペンが大いに活躍しています」と評価。動作が軽くなったので、投影した PowerPoint に書き込みながら解説するといった使い方もできそう、と期待を滲ませます。

鈴木氏は、「2 台持ちを解消するにあたって情報の安全性は大きな懸念材料です。Surface にはセキュリティ機能が十分備わっていますから、先生方も安心して使えると思います」と、Windows Hello による顔認証や BitLocker によるデータの保護なども評価のポイントとして挙げます。さらに、Microsoft 365 に含まれる秘密度のラベル付け機能について「資料やメールなどの情報に対し、ユーザーやグループ単位でアクセス権限を設定することができるので、情報の安全性を一層強化することができる点も心強いです」と語ります。

新しい Surface は処理速度が早いので、とても快適です。それに画面が大きくタッチ操作がしやすいので、デジタル採点が快適になりました。手作業では 1 時間かかって採点が、今は 40 分程度で終わるようになりました

 

後藤 春日己 氏, SSH 企画部主任 / 教諭, 愛知県立一宮高等学校

教職員の働き方改革を推進する Microsoft 365 Copilot

同校では、教員が Copilot などの新しいツールをさらに活用できるよう、日ごろから Teams 上にコミュニティを立ち上げて情報交換や活用事例の共有をおこなっています。Surface Pro 10 や Microsoft 365 Copilot についても活発なやり取りがなされており、活用の促進につながっています。

後藤氏は、共通の授業を持つ教員への簡単な連絡資料や生徒たちへの朝の連絡事項などを Copilot in Word を使って作成しているとのこと。「Copilot in Word を使えば、箇条書きの情報でも一瞬で文章にまとめてくれるので、自分で文章を考えて入力していた手間が大幅に減り、朝の忙しい時間帯に非常に助かっています。資料の作成時間が半分に削減され、業務効率化が大きく進んでいると感じます」と喜びを語ります。

「Copilot in Forms があれば、これまで紙ベースで配布していたアンケートも、Word ファイルなどにある情報をそのまま貼り付けるだけで簡単にデジタル化でき、とても便利ですね」と鈴木氏。

鈴木氏は、Surface Pro が導入されたことで生成 AI にアクセスする機会が増えたと喜びます。「これまでは、生成 AI を使いたいときにはブラウザを開いてアクセスする必要がありましたが、Copilot キーを押すだけで簡単に Copilot が立ち上がるので、調べごとをしたいときなどに気軽に呼び出すようになりました。生成 AI への近道ができたイメージです」(鈴木氏)

後藤氏は Copilot のおかげで新しい検索体験を得られたとのこと。「これまでのようにブラウザで検索ワードを打ち込んで情報を探すのではなく、文章を書き込んで人に尋ねる感覚で検索できるのが新鮮です。答えも文章で返してくれるので、検索対象に関する知識が不十分でも必要な情報を集められるのがありがたいですね」(後藤氏)

後藤氏はまた、「今後さらに Microsoft 365 Copilot の使い方が身につけば、課題研究などの成果の分析やまとめを Copilot と壁打ちしながらさまざまな角度でおこなえるようになるのでは」と展望を語ります。

これまでの経験から得られた Copilot を使いこなすコツについて鈴木氏は「一発で 100 点満点を求めないこと」だと言います。「8 割を Copilot にやってもらって、残りは自分で調整するようなイメージです。生成 AI は現在進行形で進化しているツールですから、少しずつできることが増えるのを、自分も楽しむくらいの姿勢がちょうどいいのではないでしょうか。それから、少し使ってみてうまくいかなかったからといって“使えない”と決めつけないこと。使うのをやめてしまったら進化に取り残されてしまいかねませんからね」(鈴木氏)

一方で、見えてきた課題もあるといいます。「まだまだ自分たちのプロンプト(AI に対して入力や処理を促す文字列や指示文章)技術の向上が必要です。さまざまな使い道があると思いますが、まずは文書の要約や壁打ちなどで業務効率化に役立てていきたいですね」と後藤氏。

また教育現場においては生成 AI との役割分担が重要、と語る原氏。「社会科などは、それまで事実とされていた内容が変わることもよくあります。ですから、生成 AI にはこちらから提示した内容のまとめや見栄えの整備などをしてもらい、最新知識や解説が必要な部分は私たちがチェックするなど、それぞれの得意分野で分業していきたいと思います」(原氏)

Teams を活用したコミュニケーションは同校内のみならず他校とも活発におこなわれているそうで、今後はここから全県展開に向けたさまざまな活用方法が発信されていくことになりそうです。

“Copilot in Word を使えば、箇条書きの情報でも一瞬で文章にまとめてくれるので、自分で文章を考えて入力していた手間が大幅に 減り、朝の忙しい時間帯に非常に助かっています。資料の作成時間が半分に削減され、業務効率化が大きく進んでいると感じます”

後藤 春日己 氏, SSH 企画部主任 / 教諭, 愛知県立一宮高等学校

すべての生徒と教職員が ICT の効果を享受できる環境づくり

川口氏は「ぜひ Surface Pro 10 と Microsoft 365 Copilot を業務効率化に役立てていただきたいと思っています。先生方が児童・生徒と関わる時間をつくり出せるような活用事例をどんどん共有していきたいですね」と、今後に向けた期待を語ります。

同課では、教職員の働き方改革や ICT 教育の次の段階として生徒の生成 AI 活用推進も考えています。井戸田氏は、「生成 AI や AI PC は、この先なくてはならないツールになります。学校教育のなかで正しい使い方を身につけて、デジタル人材としての素地を育み、将来の選択肢を増やしてほしいと思います」と語り、生成 AI と教育の活用展望について続けます。

「生成 AI は、個別最適な学びに役立てられると思っています。生成 AI を活用することで、事情があって学びの機会が限られてしまう生徒であっても、自分のペースで学びを深められる可能性が出てきます。その実現のためには、まずは先生方にしっかり理解していただくことが重要です。デジタルに苦手意識を持つ先生も、楽しみながら ICT を活用した授業を進めてもらえるようにサポートしていきたいと思います」(井戸田氏)

そのためにも、さまざまな教育の現場でツールを展開している日本マイクロソフトには先進事例の共有や研修の実施などでさらなる協力を、と両氏。「新たな情報の提供や普段感じる疑問に答えてくれることは、先生方の技術向上だけでなくモチベーション維持にもつながります。引き続き支援を期待しています」(川口氏)

現場の意見を取り入れたうえで 5 年、10 年先を見越した端末更改を実現した愛知県教育委員会の皆さま。さきざきを見通して最適なソリューションを最適なタイミングで推進しようとする姿勢は、多くの教育関係者にとって参考になるのではないでしょうか。私たち日本マイクロソフトも、愛知県教育委員会の皆さまのビジョンを実現するために、引き続き最大限のご支援を提供してまいります。

“Copilot キーを押すだけで簡単に Copilot  が立ち上がるので、調べごとをしたいときなどに気軽に呼び出すようになりました。生成 AI  への近道ができたイメージです”

鈴木 淳子 氏, 教務部 情報化推進者 / 教諭, 愛知県立一宮高等学校

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